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12月 24, 2021

空間に動きを

空間に動きを | 粕壁の家

建築家村山雄一氏の言葉である。母校にほど近い住宅街に一軒の素敵な家が建っている。私が高校に入学した1993年に竣工している。当時は面白いカタチの家だなと遠くから眺めていたが、今から考えると生まれてはじめて心揺さぶられた建築かもしれない。それから10年以上経ったある日、留学先から一時帰国してインターンとして勤務していた建築設計事務所の資料室で偶然「粕壁の家」の記事を発見した。高校時代の記憶がよみがえり、ひとり興奮したのを覚えている。村山氏のコラムの一文を引用する。「鋭角は冷たさ、鈍角は温かさ、そして直角はとどまった安定感を空間に生じさせる」高校一年生の時に感じたカタチの面白さは、鈍角の醸し出す温かさに一因があったようだ。角度は性格を持っている。空間の機微を左右する素晴らしい視点だと思う。

written by kentaro nagasawa