私の大好きな建築の一つ、埼玉県宮代町にある進修館(公民館)である。設計は象設計集団。温かみのある楽しい建築は「世界でひとつしかない建築」という町からの依頼から始まったらしい。宮代町の特産である葡萄が建物のそこかしこにモチーフとして顔をだす。巨大な建築ではないけれど、内部空間はのびやかで気持ちが良い。縦にのびたり、奥にのびたり、暗かったり、明るかったり、そこを爽やかな風がたまに通り抜ける。そして、秀逸なデザインは建築と大地との一体感で完成している。土地に”建てる”のではなく、余白に”埋め込む”ような建築。人間にとって建築は環境と一体化した時にはじめて、心地よい空間になれるというお手本のような建築である。