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千住の家

NEW BUILDING
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敷地面積10坪に建つ都市型住宅

駅徒歩7分の住宅密集地に建つ3世代4人家族のための木造3階建て住宅です。間口2間半、奥行き4間弱、3方を建物に囲まれた狭小敷地であったため、建築の基礎的要件である「光と風を効率良く取り込むこと」「限られた空間の中で広さを感じられること」の2つについて、改めてその可能性を検討することから設計が始まりました。

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平面計画は階段を挟んで南北2つのボリュームに分かれるシンプルな空間構成とし、回遊性のある動線計画としました。断面計画は、3方に建物が迫る北側の室でも採光を効率良く室内に取り込めるように、南側より床高さを階段1段分高く設定しています。天井高さはその用途と家族が過ごす時間に応じてそれぞれ決定しました。建物平面を単純な形態とする一方で、内部は多様な気積が結びつくダイナミックな空間となりました。

家具、建具、棚類は、全て赤ラワン材で揃え、深みのある色合いに木目が映える美しい仕上がりとなりました。タイルにはめ込まれたコンセントプレートとスイッチプレートはステンレスの2mm板から製作しました。タイル面とプレートをフラットに納めることで、意匠性とメンテナンス性の両方を兼ね備えたデザインになりました。出っ張りがないプレーンな食器棚のデザインや厚み2mmのアルミ幅木など、一つ一つはとても小さな工夫ですが、それらを積み上げることで、コンパクトでも心地よい空間がつくれたと思います。

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素材や色の異なる素材を用いて、室内に複数の層を構成することで、空間の奥行きや広がりを演出しています。一つの場や部位が複数の機能を同時に担うことで、限られた空間を最大限に活用しています。例えば、キッチンとリビングの間のスペース(段差)は、階段の1段目、踊り場、廊下の3つの機能を兼ねています。

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床材には足触りのよいナラの無垢フローリングを採用しました。無垢材は断面もそのまま使えるため、玄関や階段の端部も框を用いず、すっきりした納まりとなります。階段の段板には、杉の梁材(構造材)を用いました。厚み90mmの梁集成材は、歩行者に安心感を与えるとともに、準耐火建築物でも段板の被覆が不要であり、木材の温かみ直接肌で感じることができます。

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建物の中央を貫く3層吹き抜けの階段は、光と風を上下階に運ぶ動線になっています。階段上部に設置した開閉可能なトップライトは、早朝、東から登る太陽の光を室内に取り込み、開放することで、室内の空気を建物上部から外部に排出し、建物内に心地よい空気の流れを作ります。

外壁には耐候性のあるガルバニウム鋼板を採用し、雨仕舞いを考慮して屋根と外壁を一続きの面として設計しました。2階リビングには街と繋がる大開口のFIX窓と通風用の小扉を設けています。室内側にはナラ材のベンチを設え、開口というよりむしろ光を通す壁として、ガラスに対面するのではなく背を向けて読書や編み物を楽しむ場として計画しました。外壁面から300mm飛び出した大開口、玄関前の溜まりの空間としてのアルコーブ、外壁の一文字葺きによって作られる陰影、これらは単純な箱型の建物が複雑で人の手が感じられる下町の街並みに溶け込む仕組みでもあります。

所在地 :東京都足立区千住
構造  :木造軸組工法地上3階建て
敷地面積:33.83m2(10.23坪)
建築面積:23.61m2(7.14坪)
延床面積:75.62m2(22.87坪)
設計監理:長澤剣太郎建築計画事務所
施工  :松崎建設