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旧山本医院再生計画

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旧山本医院再生計画

鷲宮神社が鎮座する埼玉県久喜市は都心から約50km離れた郊外に位置します。旧山本医院は、大正時代、地元大工の手によって門前200mの場所に建設されました。

2019年11月に開催された梅田久喜市長を審査員長とする久喜市ビジネスグランプリで、弊社とらしく株式会社は共同で旧山本医院の利活用を提案し、最優秀賞を受賞しました。

久喜市鷲宮地区の環境分析に基づいた空き家である旧山本医院の再生計画と、これを起点に鷲宮地区全体の活性化を推進するストーリーが提案の骨子です。「一つの建築を残すことだけに尽力するのではなく、その建築を含めた門前の街景観を維持していくこと」「ノスタルジックな想いだけを推進力の拠り所にするのではなく、積極的かつ持続可能な仕組みづくりでこれを実現すること」の二つが重要なテーマになっています。

下記がプレゼンテーション資料です。

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受賞後、旧山本医院の所有者との数回の面談を経て、2020年5月に耐震診断調査、2020年7月に所有者ご家族と本提案に共感する数名のボランティアによる空き家のお掃除ワークショップを実施しました。古民家の持続可能な利活用に向けて進み出していましたが、建物維持に関する所有者の意向やコロナ禍の影響により、残念ながら旧山本医院は2021年春に解体されました。

現在、全国に800万戸以上の空き家が存在していると言われています。老朽化が著しく地域への悪影響が懸念される特定空き家の解体(行政代執行)の数は年々増加しています。しかし、「空き家」と一言で言っても、築年数や建築当時の設計、施工方法、使い手のメンテナンスなどにより建物の状況は全く異なります。建築単体の耐震性や機能面の問題以前に、街の記憶として保存すべき重要な建築もあるでしょう。

今後は、より詳細な項目によって空き家の状態を見極め、残すべき既存建築物を選別することが求められると思います。古民家の利活用を推進するには、各種専門家から成る建築再生チームの多角的な分析と戦略・実行計画の立案、これらに基づいた地域住民を含めた官民連携のとりくみが必要となってきます。

遂行するにはいくつものハードルがありますが、持続可能な社会の実現の一助となれるように、建築単体の再生からそれらを繋いだ面的なまちづくりまで、様々なスケールで今後も一つ一つ課題に挑戦してまいります。